日々のこと

私的会話

「いやあ、今日はよく頑張った。ちょっと景気付けに一杯行こうか。」

「さすが課長、素晴らしいアイデアですね。
いやあ、発想が違う。素敵だなあ。」

「まあ、そういうなよ。そこ、入ろうか。」

「さすが課長、目の付け所が違いますね。いい店ですよ、あそこは。
本当に課長、感性がずば抜けていますね。」

「まあ、そういうなよ。そんなにいい店なのか。」

「いやあ、あの店は本当にいい店ですよ。
酒はうまいし、ねーちゃんはキレイ。なんちゃって。
今日という日は、もうまさに飲むに限りますね。」

「お前、俺を馬鹿にしているのか。」

「何をおっしゃるうさぎさん!めっそうもございません。
課長好き好き愛してます。
ただ、僕はもう、唯一尊敬できる人間は世界中でただ一人、あなた様でございます。
僕は幸せだなあ。このような人格者と一緒に仕事ができるなんて。」

「お前、喧嘩売ってるのか。俺はうさぎじゃない。
俺は、百獣の王、ライオンなのだ。」

「そうですとも。そうですとも。課長はライオン!がおー。
かっこいいなあ、そのたてがみ。痺れます。
ところで課長、そのような茶色の毛皮を着ていると暑苦しいでしょう。
この四十度を越えるような真夏日に。
ライオンというのは、本当に大変ですね。脱いでしまっていいんですよ。
テイク・イット・イージー・ライダー。」

「お前、こんな公衆の面前でこの毛皮を脱ぐわけにはいかないだろう。
俺は仮にもライオンなのだ。百獣の王なのだ。プライドがあるのだ。
そう易々とはいかないよ。
それに、公衆猥褻罪で捕まってしまうではないか。
俺が捕まったら、家庭は滅茶苦茶だ。崩壊だ。
家族は路頭に迷うことだろう。
会社だって、俺が捕まったら莫大な損害だぞ。」

「課長!考え過ぎはよくないない。ハッピー・エンジョイ・ライフ。
課長好き好き。
さあ、今まさに百獣の王ライオンが、真にそのヴェールを脱ぐ時が来た!
その真相は如何に。
ストリーキーング。
キング・オブ・ザ・キング・オブ・ザ・キング・オブ・ザ・キーング。
この雑踏を駆け抜けろ。
まさに草原を駆けるが如く、課長は真の姿をこの瞬間に見せつけるのだ。
ああ、素晴らしい。今日という日は、なんとかけがえのない一日なのだろう。
マリア様に感謝感激。」

「よーし、わかった。」

「そうこなくちゃ。今、まさに脱いでおります。脱いでおります。脱ぎました。」



「こんにちは。ぴょん。」

「こんにちは。ぴょん。かわいいでちゅね。お名前、なんていうの。」

「僕、うさぎちゃん。ぴょん。よろぴくね。」

「はーい。うさぎちゃん。こちらこそよろぴくね。
どこ飲みに行く?そこ、バニー・ガールいるよ。」

「ぴょんぴょんぴょん。かえるがぴょん。お家に帰るぴょん。」

「うん。わかった。今日はお疲れ様。ばいばーい。」

「ばいばーい。おやすみー。」




テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

  1. 2006/08/20(日) 05:02:58|
  2. 短編
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