
フェダインのライブ音源がリリースされた。
91年11月9日第六回ニュー・ジャズ・フェスティバル(バウスシアター)出演時の演奏。
全くもって素晴らしい。
この頃は、グループとしても、相当に充実していた時期だと思う。
ちなみに「フェダイン」とはアラビア語で「戦士」という意味だ。
川下の今にも死んでしまうんではないかと思う絶叫Sax、縦のりファンクの不破のベース、壮絶に叩きまくる大沼のドラム。
ライン採りのためライブそのものの熱狂は伝わってこないが、それにしてもかっこいい。
フェダインは、俺のなかでは今でも日本最高のジャズトリオの一つである。
このライブ音源は、今まで何故発表されなかったのだろうと思う位水準の高いもので、聴き手にぐっと迫ってくる。
フェダインのライブは、いつだってそうだった。
今はなき大和の「足穂」に何度となく通った。
客はまばらながら、演奏は、それはもう鬼気迫るもので、こちらはもう圧倒されっぱなしである。
負けじとこちらも大騒ぎして、叫んだり、立ち上がったり、兎に角いかした連中だった。
フェダインの演奏中、そこから光が放じられ、「足穂」を突き抜け、そのまま空高く、宙にまで届くかの如き感覚にも何度となく襲われた。
光が間違いなく差し込んでいた。
それ程彼らのライブは強烈だった。
そのようなことも思い出したこのライブ盤、悪いはずがない。
「ミュージック・マガジン」7月号の寸評で、10点満点中6点と評され、評者の松尾史朗は、音質も悪いようなことを記していたが、彼は何を根拠にそのような点数を付けるのだろう。
俺には理解できない。
音質も悪くない。
解せないレビューである。
フェダインの情報量なんて少ないのだから、こういう所で叩かれてしまうのは残念で仕方がない。
真に聴くべきジャズの音なのに。
ところで、フェダインを名乗る前に発表されていた「川下直弘・不破大輔・大沼志朗 / マイル・アンド・ハーフ」を入手したのも「足穂」でだった。
ジャケットに、彼らに直筆のサインをしてもらっている。
今となっては貴重な宝物だ。
最近フェダインの1st,2nd,3rdが再発されているから、未聴の方は是非聞いてみてください。
1stが断然にお薦め。
発売された当初、「ジャズとニューウェーブとの見事な融合!」みたいなキャッチ・フレーズで一部では騒然と話題になっていた。
名盤。
そんなフェダインなのであったが、不破が「渋さ知らズ」を始めた時は、何かの悪い冗談だと思っていた。
てっきりフェダイン息抜きのサイド・プロジェクトだとずっと思っていた。
それがなんだかみるみるうちに有名になって、知らぬ間に川下と大沼もいなくなり、ついにはメジャー・デビューである。
それはそれで目出度いが、しかしよりによって商魂逞しいエイベックスである。
不破は魂まで売っちまったのか!
「渋さ」は、俺は全然面白くない。
うるさいだけなのだ。のりがいいだけなのだ。馬鹿騒ぎだけなのだ。
俺は、こんな不破が悲しい。
フェダインの、あの毒にもまれたひりひりするような音。
こちらの身も危なくなるような、逼迫感。
そんな熱さ、不破は忘れてしまったのだろうか。
それにしても、「渋さ」はそんなにいいのか。
何故、誰もつまらないとはっきり言ってあげないのか。
それとも、俺の耳がセンス悪いのか。
「足穂」のフェダインのライブで、近くにいた女の子に声を掛けられた。
「あんた、男に生まれて可哀想だね」
「だって、大沼志朗と結婚できないじゃん!
わたしにはその可能性があるんだから!」
テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽
- 2006/07/16(日) 16:18:00|
- Jazz
-
| トラックバック:0
-
| コメント:5
-
|
僕もフェダインのライブはさんざん行きましたが、渋さ知らズは行ったことがないし行く気もないですね。渋さ知らズは僕の周りの普通の人でもファンがいたりします。要するにそういう類の音楽なんですね。とにかくフェダインとは全然向かってる方向が違いますね。ちなみに川下さんは自分でフェダインの音楽を「パンク・ジャズ」だと言ってました。
ちょっと見込みのありそうな(?)若者でジャズに興味があると言ってる奴にフェダインの1stを聴かせたことが何度かあって、やはりなかなか好評です。しかしやはりライブのあのすごさを再体験できるほどのアルバムが無いと思うんですが。今度のアルバムは、決定版になりますか?
- 2006/07/17(月) 02:58:33 |
- URL |
- ほりうち #IpRelWyo
- [ 編集]
「パンク・ジャズ」!
まさに至言!
圧倒的にその辺のパンクバンドより強烈だったなあ。
とにかく、かっこよかった。
それは、ライブでこそ体験できるものであって、CDとしてうまくパッケージ化されることを拒絶するものなのかもしれません。
「決定版か?」と問われて、正直、戸惑ってしまいました。
片鱗はうかがえる、といった感触です。
再体験からは程遠いかもしれません。
でも最近聴いた中では断然に飛び抜けてよかった。
渋さ知らズ、やっぱりほりうち君もそう思う?
フェダインを知ってしまった後では、魂の抜け殻、音の残骸のようにしか聞こえてこないよ。
方向性の違いか。
不破は、何か悪いものでも食ってしまったのだろうか。
大沼も川下も地道に活動しているけど、フェダインみたいなの、また出てくることを切望しています。
- 2006/07/17(月) 04:21:00 |
- URL |
- Tatsu #-
- [ 編集]
フェダインの当時のライブ、自分で録音しておけばよかったと悔やまれます。渋さ知らズにフェダインの残像を求めようとすると悲しくなるだけですね。
「また出てくるのを切望する」のでなくて、「いずれ自分でやる」と思ってほしいんですが(笑)。JOJO広重は16日の日記で、「終わりなど、来ない」と書いてますが、僕も、死ぬまで何らかの形で音楽をやりつづけるつもりでいます。
http://www.kt.rim.or.jp/~jojo_h/ar/p_diary/diary.html
- 2006/07/18(火) 23:59:08 |
- URL |
- ほりうち #IpRelWyo
- [ 編集]
「足穂」のライブ、録音してたけど、どっかいっちまったなあ。探せば出てくるかも。録音状態よくないです。今度探してみよう。
自分でやらないけませんか!(笑)
痛いところを突かれた。
でも、確かに、本人が諦めない限り、終わりは来ないと思います。
諦めた時点で、終わってしまう。
カメは死ぬまで成長するといいます。
どんどん大きくなる。
俺も死ぬまで、成長する。
そんな気概を持って、生きています。
JOJO広重のHP見ました。
朴訥した文章だけど、やはり何かきらりと輝くものを感じました。
彼の人柄、円熟味というのでしょうか、その様なものが見て取れる文章です。
俺もそんな人間になりたい。
ほりうち君の「死ぬまで音楽をやり続ける」気概、しかと受け取りました。
本人がその意思を持ち続ける限り、やはり終わりは来ないのだと思います。
- 2006/07/19(水) 22:46:58 |
- URL |
- Tatsu #-
- [ 編集]
「足穂」のライブテープ、連日のやつ、2本発見しました。音質はよくないけど、まあまあかな。1本は、120分テープにも収まりきれてません。どれだけやっとるのだ。
今度CD-R化できたならば、渡しますよ。
長い目で待っててね。
- 2006/07/23(日) 23:44:40 |
- URL |
- Tatsu #-
- [ 編集]